Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
「河内の秋の物でございます。山の芋、栗、甘柿、野葡萄、松茸などの山の幸。もしや野山に臥しておわせられた戎衣(軍服)の日を思い出られて、珍しくもない物ながら、ふと、おなぐさみにもなろうかと存じまして」
「忘れていた。まことに、これらの物で露命をつないでいた日のことを我れ人ともにもう忘れかけている。今夜の客どもにもそういうて馳走してやろう」
「ご内客でございまするか。ではいずれまた改めて、ご拝謁にあがりますれば」
「ま。……そう急がいでもよかろう」と、宮はふりむいて、さっきから広縁の端に侍坐していた殿ノ法印良忠の顔を見た。
どうせ今夜の客は、新田と千種だし、楠木とても、宮はわが腹心の一人としておられたので、ならば、同席させてもと、思いつかれたものらしかった。
……だが、殿ノ法印の目を見ると、彼は、ひたい越しに宮のご意志を読んで止めていた。それで急に、宮もためらいに戻ッたらしい。そのままあとは何も仰っしゃらず、まもなく、暮れなずむ内門へ退きさがって行く正成を――依然、田舎武者の風の抜けきらない河内守正成の背を、ただご微笑のまに見送っていた。
正成の帰ったあとで、宮は殿ノ法印にむかって、