Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

「楮幣を断わッたぐらいな科で」

「まちがいだ、首を斬られるなンて法はない」

「でも、たしかに役人が外で話していたよ、順ぐり河原へひき出して、見せしめに断罪とするにきまったらしいと……」

「わからない。ああ」

突如、発狂しそうな声が、

「ご新政だ、ご新政だ!」

すると、くらやみの中の人間がみな、それに和して、呪うように嘆きあった。

「これがかい? ……これがご新政だというのかい」

むりもない。この国での紙幣の慣用などには、まだまったく未経験なところへ、新政府の公布も法令一片で、ほかになんらの馴致をうけていた民ではないのだ。

ただついて来いというのが、新政府の強権意識であったとみえる。事のおこりはこの建武元年の正月、天暦いらい荒廃のままとなっている

大内裏造営

の議が決まって、さてその国費は? というところから、このくるしい捻出案も即時に可決されたものだった。

ただでさえ、新政府の財政面は火の車なのである。破壊だけで、生産、建設面はまだ何一つ行われていず、天皇の還都いらいは、朝威をかざるに急で、諸式万端、華美と見栄に走って、さいげんもない加速度な支出をぜひなくして来ている。