Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
「そして忠顕は、この手違いをどうすべきだと申したな。何か意見はなかったか」
「は。……このうえは夜来の軍備をそっとお解きあって、またのよい機会をお待ちあるようにと、お案じをのこしつつ、ぜひなく参内なされました」
「なに、参内した?」
「はい。わが中将殿へも、俄なお召がございまして」
殿ノ法印は、宮のかたわらで、突然、いきり立った。
「なにを寝ぼけて」
と、千種の使者を駁し、
「軍を解くなどはもってのほかだ。尊氏がどう出ようと、このさい、せっかくなご準備をくずしてはなりますまい。何はあれ六波羅を攻めつぶし、一方、禁中にいる尊氏めを、生け捕るべきでございます。いまを外したらまたの機などはありませぬ」
と、宮へも強硬に迫ると、宮はきついおん眉を見せて怒ッた。
「黙れっ。かく手違いをまねいたのは、きさまが六波羅のうごきを見損うた過ちによろう。そのなんじが、千種を罵るなどは、自分の落度をひとに転嫁するものだ。聞きぐるしいぞ」
「その儀は」
と、急に平蜘蛛になって、
「重々、申しわけござりませぬ。しかしながら、ここのご決意一つでは、過失を僥倖に転じ、あとではお賞めをいただけるかともぞんじまする」