Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
北山手入れ
同夜また、殿ノ法印以下、宮の供人四十余名は、中重ノ門側の一ト棟を滝口の兵に包囲されて、ひとり残らず縛されてしまった。彼らは「何が何やらわからん」と吠え狂い、ののしり叫んだ。道理である。禁門の内外すべて、みな同様なてんやわんやの混乱だった。そして無残な初雪の夜は明けた。
北山手入れ
修羅の合戦だけが戦ではない。
十月二十二日事件は、陽戦ではないが、見えぬところの陰戦ではあったのだ。尊氏派と反尊氏派とが、相互ギリギリな死闘を決した一戦であったといえる。
結果は、大塔ノ宮御一味のやぶれに終り、消えやすい初雪が翌日はもう泥ンこな都の辻と化していたように、あとかたもない壊滅をとげてしまった。
それにしても?
と、多少裏面に通じているわけ知りまでが、いろんな疑惑を後ではもった。
尊氏を懐柔しつつ、いつか宮の手で尊氏を亡ぼそうものとしておられた天皇が、土壇場へ来て尊氏にせまられ、やむなくその陰謀のとがを宮おひとりの罪にかぶせたなどのことは、天皇というお立場の苦しさ、廷臣の圧力、あながち、わからぬこともない。
また、准后の廉子が、てもなく、尊氏方へ廻って、大塔追放の讒に、大きな役割をつとめたなどは、むしろ彼女自身の凱歌としたところなので、これなどもよくわかる。