Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
一日も早くその義詮を次代の将軍にすえて、幕府統一を固めておかねばとするあせりがつのッた。それに自分もいつか年は五十をまたいでいる。
「顕氏」
武佐寺での尊氏は、油幕を引いた大庭に床几をおき、朝も昼糧も、粳に味噌をつけたような物を床几のままで噛っていた。
「叡山はまだ、うんといわないのか」
「はっ。再度のお使いも、今もって戻らず、何の早馬もないところを見ますと」
「よい条件を申しやってあるものをな。なぜだろう、即答を渋るのは」
「いまだに、天龍寺造営のいきさつを、恨みにふくんでいるのではありますまいか」
「ばかな」
と、癇気をたてて。
「では、直冬へつく気か」
「いや、佐殿方への加担も拒んでいるということではありまする」
しばらくすると、彼はまた、畠山国清をよんで、
「きのう今日の軍兵の着到を見せい」
と、簿を取寄せていた。
管領の基氏が派してよこした東国勢やら、美濃の土岐、信濃の小笠原など、諸国の兵は毎日のようにここへ着いていた。その数は武佐寺の内外にあふれて、すでに万をはるかにこえている。
「よし。叡山の返答など、気永に待っているにおよばん。明日は東坂本へさして進め。