Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
「……分りました。つまり兄上のお心として、神事を、わたくし事に利用したり、農民をあざむくような真似は、好ましくないと仰っしゃるのですな」
「そうだ。その通り……」
「では、加賀田の御忠言は、聞き流すとして、予定どおり、明日から雨乞いを行わせましょう。……とすれば、正季もいッそ気らくです。今夜とて、もう用もない身になれる」
「飲むがいい。……どうだ、すこし過ごさんか」
酌いでやって。
「加賀田の山荘へは、この頃も、皆、足しげく通っておるのか?」
「はい。御講義日には」
「そうか。兵学もよいが、まあ、一ト通りの心得だけで止めるがいいな。あれは、学問にとどまらず、活用が主だ。とどのつまりは身を殺すものでもある。われら山家武士には、まず生涯、実用の日などあるまい」
「なぜです?」
正季は、突ッかかった。
兄の容貌までが、このとき、ただの大百姓の一戸主みたいな凡くらに見えて。
「兵学無用との御意ですが、わが家は、武門でしょうが」
「だから程々に、心得おくのは悪くあるまい。したが、兵学ならでは、夜も日も明けぬかのごとく、血の気の多いのが、山荘などに寄り集ッて、天下国家を論じるなどは、どうかなあ。