Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

……山家武士の蛙談議。ひまつぶしではあるまいか」

「では、伺いますが」

むかっ腹ぎみに、干しつづけていた杯を、正季は下へおいた。――議論はしても、喧嘩はしたくないからだった。

「兄上もたしか、兵学はお学びでしたな」

「ムム、少しはな」

「いや、少々なことではない。あなたも私も、幼時の学問は、中院ノ龍覚御坊につきましたが、それ以上にも兄上が、青年期を通じて、よく通ったのは、加賀田の山荘ではありませぬか」

「そうだった。十年の余も通ったろうか」

「さすれば、加賀田の毛利時親どのは、あなたにも、恩師のはずだ」

「えらいお方だと、今もって、尊敬は失っていない。御恩も忘れてはおらぬ」

「しかるに、その兵学を、害のみで、益なきものとは、どうしていえた義理でしょう。矛盾している。兄上の今夜の言は」

「していない」

「いや、している」

「はははは」

正成も、一杯、ふくんで。

「正季」

「は」

「そんなにまで、兵学に執心して、おぬし、その兵学を役立たせる日があるとでも信じているのか」

「ないとは限りませぬ」

「あったら事だな。理も非もない日だ。――自体、理も非もない日に役立つ究理などは、学問とはいえぬものぞ。