Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
「腑におちないと、仰っしゃるのは」
「どうあっても、ただの町人諸職とは思われぬ。禿鳶どのにいわせれば、自分に資本を出してくれた、若狭のさる物持ちの道楽息子のくずれだとか申しているが、それはあの仁の、欲が手伝っているはなしだし」
「あなた」
卯木が注意した。――噂をすれば影――その禿鳶が、大股に、ここの窓へ向って、空地を斜めに来るのが見える。
「えらいことになったぜ」
竹窓の外で、禿鳶はすぐ、内の夫婦を見て言い出した。
「上物の鎧だけでも三、四十領、ほか具足やら腹巻やら、数と来たら、ちょっと、眩がしそうな程のお誂えだ。ただ弱ったのは日限さ。百日というのを、やっと百二十日と仕切って、お引きうけしたが、何と、こんな時にも、柳斎旦那は、お留守ときている。暢気なもんだよ」
それから、また、
「さあ当分、忙しいのは、わし一人だ。革、地金、糸、金銀、それぞれ仕入れに駈け歩かなくっちゃならないよ。……だが、今日見えたお客二人も言っていた。この商売にゃ、いまに、どえらい景気がやって来るぞと。――こういう時こそ、おまえ方も、夜昼なしに、稼いでおくこッたな。わしも一と身代つくるつもりだ。