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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

――すぐにも、ここの家は捨てて出る日が来たのだ、と。

「尼前……。少々、お待ち下さらぬか。私たちも、大急ぎで身仕度します。そのあいだだけ」

「えっ? あなた方も」

「私たちも、わけあって、急に立ち退かねばならぬ身です。委細はあとにしますが、尼前からも、ぜひお訊きしておきたいことがある。……卯木、身の廻りの物だけ持て」

――それから、半刻もたたぬうちであった。

長屋中の者がまだ右往左往、騒いでいるまに、卯木夫婦と、草心尼母子の四人は、暗い浜風の中を急いでいた。

といっても、覚一の盲の歩みに、足をあわせて。

「いまから阿倍野、生野を歩いて、淀へ出るには大ごとです。夜が明ければ、出見ノ浜から難波へ通う乗合舟がある。それにお乗りなされては」

元成のことばにまかせて、母子は、住吉ノ浦で朝を待ち、舟から舟の便で、京へ帰ろうと、思案をきめた。

浜の入江には、住吉神社の献火と、海上標識のための、高い潮見燈籠が、いつも不断に、ともっている。

「……さ、これへ、お憩いなさるがよい」

元成は、どこからか、莚をさがし求めて来て、その辺りの砂地へのべ、まず、覚一と、草心尼を坐らせて、