Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
検断所の部将、本庄鬼六で、
「ここにはおいであるまいか」
と、中門でも訊いていた。
警備の兵が、常にはないきびしさで。
「おられます! おられますがしかし、何の御用か」
「ちと急に、お目通りいただきたい」
「むずかしいと思いますが」
「折入っての儀だ。お耳にだけ入れてくれまいか」
鬼六のねばりに、兵の頭が、中門廊の廂の方へかくれた。ややあって。
「――待てとの御意です」
「そうか。しからば」
鬼六は、門側の大きな平石に腰かけて、召しを待った。
その間に、兵の頭をつかまえて訊いてみると。
奥では、南の左将監北条時益、北の越後守北条仲時、両探題もそろッて、急遽、鎌倉から派遣されてきた二階堂下野ノ判官、長井遠江守らの面々と、今朝から密議中とのことだった。
「まずいかな?」
鬼六は思った。
自分の持って来た問題は、時局外のことだし、配下の不手際ともいえるものだ。歴々のまえでわざわざ自己の落度をさらすのも智恵がないとも考えられて、
「……出直そうか」
としかけたが、もう遅かった。奥から召次の者が来て、鬼六にたいして「通れ」との達しだった。
鬼六は連れられて、大書院の廂の砌りに、ひざまずいた。