Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
心得まいてござりまする」
「ここ一両日中には、大蔵の邸にお預かりしている忠円僧正の身も、越後の配所へ差し立てることになろう。――その上人の口からも、高氏は親しく、至尊のお身まわりのこと、大塔ノ宮のこと、公卿山門の実状などを、つぶさに伺い、後日のためには、よい知識を居ながらに受けていた。……右馬介、今日の下に抱く大望は、頼朝公時代にそれを成すよりは、百倍も難しいぞ。その気で、そちも抜かるなよ」
ふと、不用意でもないように、高氏は自分を頼朝に擬していたが、蛭ヶ島の一流人から起って、平家を亡ぼし、この鎌倉に新しい時代を創始した源ノ頼朝こそは、本心、彼の理想像だったのだ。
鶴ヶ岡の大鳥居の朱と共に、彼は、頼朝の人をしのび、その大業のあとをみて、
「頼朝公に比すれば、この高氏などは」
と、いつも辱じた。頼朝は十三で配所の身(流罪)となり、寸土も一兵も持たない身から起ったのである。――自分は小さくとも足利ノ庄の守護であり、鎌倉では、前執権守時の弟ともいわれている。
なお、思うには。
北条氏九代の栄は、その頼朝の創業を、巧みに奪ッたものではないか。
しかもその末は、この腐敗だ、この乱脈さだ。