Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
人にはめったに、ご口外もなさらぬというのに、よくそこまでのおはなしを」
右馬介の柳斎は、日満の語が切れかかると、あとをねだるようにすぐ油を差した。
「では、その阿新さまとやらは、せっかく島へ渡って来ながら、父の資朝卿にも会えず、その後、むなしく都へ帰ったのでございますか」
「ム……。阿新さまか」
日満は、口を渋った。――つい語りすぎてしまったことを後悔するのか、逆にこんどは、訊き返していた。
「柳斎どの。あんたは、日野家の御縁すじか」
「いえ、そのような者では」
「さもなくば、宮方のお一人じゃろうが。拙僧の観るところ、ただの具足師とは思えん。お隠しあるな。そう見たればこそ、お打ち明け申したわけじゃ。阿新丸さまを連れて、いまは一日も早うこの島を去られたがよいぞ」
日満の眼はさすがだった。はや看破していたのである。けれど右馬介を宮方と見たのは、日満の眼違いでもある。
右馬介は当然、それ幸いと、宮方になりすました。そして、日満の口吻をなおいろいろ引き出して訊いた。
それによると。
阿新丸は、まだ雑太ノ城の内におかれ、入道の息本間三郎から「……父の卿に会わせるには、鎌倉どののおゆるしを得ねばならん。