Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
「舟住居は、浮寝の鳥じゃ。その夜その夜、さだまる岸に寝るとは限らぬ」
「では、おなじ杭にもやってある、あの空舟は、何なのだ? ……あれへは、誰を乗せていたのか」
「知らぬ。いずれ、ぬしなき流れ舟か何ぞであろうに」
「知らぬとはいわさぬ。あれは出屋敷の荷舟。舳に烙印もみえる。その出屋敷の水門から逃げのびた曲者を、きさまが水先して、これへ繋いだものにちがいあるまい。……また、ここから何処ぞへ、逃げ道の案内をして立ち帰って来たものだろう。うぬの帰りを待ち伏せていたのだ。縄目が恐いなら、ここで即座に、日野俊基の行った先を、申し述べろ」
「ばかな」と、雨露次は耳もかさず、
「日野俊基などとは、聞いたこともない。よそに問え」
と、しいて嘲殺した。
捕手頭は、それをまた、声高く、嘲い返した。
「そうか、うぬがいわぬなら、うぬの女房の口から訊こう。……ばかな亭主だ。ここで、すんなりと泥を吐いてしまえば、病人の女房も、痛い目にもあわず、すぐ屯所から帰されるものを」
「しゃっ……。では」と、仰天して、
「妻の卯木は?」
「もう一ト足先に、たむろへ曳かれて行ったのだ。それでもきさまは、じたばたするのか。