Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
座首の小美濃をたずねて、座入りをお頼みなされては、どんなものか」
兼好はすすめるのである。元成は、妻の卯木と、しばらく顔を見あわせていた。
それは、天来の声みたいに、夫婦の希望をわきたたせたが、さてまたすぐ、日蔭の身――と、つい考え込む、弱い習性にもとらわれていた。
次の日。――初瀬の旅籠を立って、三輪の追分の方へ行く三名の姿が見られた。
兼好も京へ帰る身なので、途中まではと、元成夫婦と共に一つ宿を出たものだろう。まもなく、
「では、ごきげんよう」
と、至極、あっさり別れを告げていた。
それにひきかえ、若い夫婦は、はたと惜別にたえない色を佇ませた。
兼好の言に感じて、ゆうべ、あれから宿へ帰った後も、ふたりは、真剣に、生涯の方向を、相談しあっていたのである。そして、さいごの決意が、今朝の旅立ちとなったのだった。
だから、ふたりにすれば、ここの追分の辻は、生涯の岐路でもあるのだ。で、兼好と別れるのも、何かその指針から離れるような淋しさにふと引かれたに違いなかった。
「お蔭で――」と元成は、あらたまって、礼をのべた。
「これからは、日蔭者の暗い癖を、努めて拭い去り、毎日を希望に生きます。