Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
さもなければ、以後の北条幕府下に、これだけの地盤を、突忽として、斬り取りしたり、他国から割り込んだりすることは出来ッこない。
家系の根が古い証拠だ。また、代々祖先の、経営のよかった余徳でもある。
その一つが、水分川の水利権であった。
もちろん、収入はそれ一つとは限らない。たとえば、石川の散所ノ太夫のように、楠木家も玉櫛ノ庄に出屋敷をおいて、運輸の私税を上げたり、寺院争いに兵を貸したり、さかんに散所大名の勢威をふるッて、財を蓄えた一時代もある。――が、近年は玉櫛の出屋敷を廃したので、散所収入の方は、際だッて、減ってしまった。
なぜか。――これには一族の不平も多い。
正季には分っていた。
要は、兄の正成の性格でもあるが、なまじ学問に傾きすぎて、血みどろな生存合戦に徹すべき散所領主の悪党にはなりきれない弱さにあるのだ。
そして、清浄な良民の上の、良い領主であろうとする風なのだが、その正成のゆき方を、悪いなどとは、正季も考えてはいない。――だが、こんな旱の凶年には、さてどうなのかと、問いたくなる。
「……兄の正成殿にしても、雨を降らせることはできまい」
豊年には、水分川の水のとどく限りな領下から貢税をとりあげ、水涸れには、素知らぬ顔でいいものか。