Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme
神秘の扉
クラパは、どんなことがあっても一行からはなれないというのだ。
ようやくなだめすかして送りかえしてやり、ダイヤ族のおそれている滝のそばまで、代りに部落の三人の若者に送ってもらうことにした。
両岸はいつか切り立った谷間になり、うす暗い茂みの間を、岩角や浅瀬に突きあたって泡立った水が、くるくると青黒い渦を巻きながら、流れ過ぎて行った。
「きゃっ!」
というような祥子の悲鳴をきいて、ふりかえると、するすると宙に吊り上げられた祥子の体がのたうちながら谷間にかけ渡された樹の上を、カーテンのように移って行くのだった。
「オラン・ウータン!」
ダイヤ族の漕ぎ手が、一せいに叫んだ。
謙一は、間髪の猶予もいれず、だーん、と、巨大な猿の胸をねらった。つづいて二弾、がおなじ胸を貫いた。
白い歯を、一文字にむき出した怪猿は、ぶるぶると身をふるわしたかと思うと、気をうしなった祥子と一緒に、もんどり打って、激流の中にのまれた。
「しまった! おい、舟を、舟をあすこへ寄せろ!」
謙一は、悲壮な声をふりしぼって叫ぶと、すばやく、シャツと、ズボンをかなぐり捨てた。
一瞬、ぽっかりと、祥子が浮び上ったのは、二十メートルほども先の下流だった。