Japanische Klassiker mit Furigana
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どうわをかくときのこころ
童話を書く時の心
小川 未明
Lesen Sie 童話を書く時の心 (どうわをかくときのこころ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.115 Zeichen · 7 Bildschirme
だが、書く場合に、私の良心は、もっと他の方面に対しても働くにちがいない。
徒らに、笑わせたり、面白がらせたりすることを目的とする者は、芸術への奉仕でなく、所謂、職業話術家のなすことであります。自分の書いたものが、どういう階級の子供達に読まれるか、恐らく、金持の家の子供達にも貧乏な家の子供にも読まれることゝ思っています。
良家に生れて、不足なく育った子供等は、自分の欲望を満足するには、もっと美しい金殿玉楼に住んだとか、栄達をしたとかいう話をきいて、夢想することによって喜びを感ずるにちがいない。それは、事実そうあるべき筈だからです。その心持を察してそういう贅沢な生活を送るような子供を主人公として童話を書いたとしたら、お嬢さんや坊ちゃん方は喜ぶかも知れない。或は、貧しい家に生れて、常に不足勝ちに育った子供等の中でも、こうした種類の童話を喜ぶものがあるかもしれない。けれど、私は、そうした金殿玉楼に住んで、人生の欲望に満足し、また自分の善いことをした行為が酬いられて栄達を遂げたような童話を書こうとは思わないのであります。なぜなら、人間の本当の幸福は、そうしたところにあるのでなく、たとえそれが童話であるとしても、そうした、これまでの世の中の見方、考方には、少なからざる誤りがあると信ずるがためです。