Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme
二の二
「もうひとこと云わせて呉れ」
孝之助は声を抑えて続けた。
「笠井のあの人は、岡村のまえの過失を知らない、むろん今日の事も知ってはいない、あの人はおそらく、岡村を世評どおりの人物と思っているだろう、岡村さえ、それを裏切るようなことをしなければ、いつまでもそう信じているに違いない、せめてあの人の信頼を傷つけないで呉れ、一時の情に激して一生を誤るようなことはしないで呉れ」
八束の冷笑は、凍ったように、冷笑したままで、硬ばっていた。孝之助は静かに、息をついで云った。
「これはおれの本心から云うことだ、そっちも本心で考えて呉れ、そして、どうしても承知できなかったら、武士として恥ずかしくない方法を選んで貰いたい、もちろん決闘でもいい、おれは決して拒みはしないから」
云い終って、呼吸五つばかり、八束の眼を見まもってから、孝之助は刀を持って座を立った。
「旦那、どうするんです」
木屋徳がそう云って立とうとした。八束が制止したらしい、孝之助は見なかったが、そのまま廊下へ出ていった。
二の二
祝言の日、孝之助は正午まで勤めた。
午後からは賜暇を願ってあり、そのため、仕事はまえから、早く片づくように、手順がつけてあった。