Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme
すべてを話して(まだ夫婦とは名ばかりのうちに)改めて彼女の意志どおりに、させてみようか。幾たびもこう考えた。ときには口まで出かかったが、結局そうはできなかった。
――それは杉乃を二重に辱しめることになる、おそらく彼女は実家へ戻るだろう、いや、もっと悪いことになるかもしれない。
もっと悪いこと。つまり自殺ということが想像された。高安への輿入れを承知しただけでも、自分の気持を相当ころしてきたに違いない、このうえ八束のことで辱しめられたら、(あれだけはっきり意志表示のできる気性では)ただ実家へ戻るだけでは済まさないだろう。自殺するか、尼になるか、ともかくその一生を放棄する手段にでる、という危惧が十分にあった。
――自分が望んでこうしたのだ、あせるのはおかしい、辛抱づよく待つことにしよう。
やがて孝之助はそう自分を云いなだめた。
――杉乃の一生を、幸福にすることが目的だった。小さな自尊心などは、初めから捨てていたのではないか、こちらからはなにも求めてはいけない、いつか、もしかして……そういうときがくるまでは……。
岡村八束は、ずっと役所を休んでいた。
孝之助はかくべつ気にもとめなかったが、笠井の鉄馬は、なんとか和解させようと、ずいぶん八束を捜したらしい。