Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

ふり返ってみたが、笠井鉄馬もそのほかの誰の来るようすもない。孝之助は決心して、かれらのほうへ歩み寄った。

「お一人とは颯爽たるものだな、今日は論判で逃げるわけにはいかないぜ」

「私は下郎などは相手にしない」

孝之助は静かに答えた。

「相手は岡村八束ひとりだ」

彼がそう云ったとたん、「ほざくな」と喚いて、子分の一人が左から、まるで刀を叩きつけるような勢いで、斬り込んで来た。

こんな無法な仕方は予想もしなかった。危うく躱したが、切尖で袖を裂かれた。八束が「やめろ」と叫んだ。同時に右から、木屋徳が突っ込んで来た。孝之助は抜き合せ、足場を広くとろうとして、うしろへとび退った。するともう一人の子分が、右うしろから拳大の石を投げつけた、(力いっぱい投げた)のが、孝之助のぼんのくぼに当った。耳ががんとし、眼が昏んで、前へのめった。

――しまった。

そう思ったが、のめりながら振った刀に、手ごたえがあり、わっという悲鳴が聞えた。

孝之助は横さまに倒れ、草の上で、躯を三転しながら、打込みに備えて、すばやく半身を起こし、刀をとり直した。

「やられた、畜生、やりゃあがった」

極めて不愉快な、しゃがれ声で、そう叫ぶのが聞えた。