Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme
「おどろいたでしょう」叔母は持っている盃を見せて、笑いながら坐りなおした、「――このごろ独りでこんなことをする癖がついてしまってね。年のせいだろうけれど、まあこっちへお上りなさいな」
孝之助はすなおに縁側へあがった。
叔母は彼に盃を持たせて、良平の病状などを訊いたのち、この人らしい卒直さで、笠井杉乃との縁談について話しだした。孝之助には思いがけなかった。父には「縁談のことでしょう」と云ったが、べつに根拠もなにもない、その場のはずみだったからである。
「まあ、だいたいそう定ったんですが」
「杉乃という娘を、孝さんは知っていらっしゃるの」
「ええ、まあ」彼はちょっと云いよどんだ。
「――兄の笠井鉄馬というのが友人なんです」
「気にいったというわけですか」
孝之助は答えなかったが、少しばかり赤くなった。叔母はふと調子を変えて、
「こんなこと云っていいかどうか、わからないけれど、知っていて云わないのも気が咎めるし、思いきって云うんですがね、孝さん、あの娘はやめたほうがよくはないの」
「――それは、どうしてですか」
「気だても悪くはないし、縹緻もいいけれどあの娘には恋人があるのよ」