Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme
「墨付の到着しだい、現奉行と即日交代せよというお達しである、いかなる御意から出たかはわかりかねるが、ともかくすぐに事務の交代をするように」
孝之助はちょっと当惑した。このとつぜんの任命を聞いて、八束のことを(またしても)思いだしたのである。
――必ずなにかでお役に立ちたい。
こう云ったが、この任命が八束の奔走によるものだとすると、彼の今の立場として、受ける気持にはなれない。辞退すべきだと思った。できることならそうしたかったが、藩主がじきじきに命じた役目を、理由なしに辞退するわけにはゆかない。そして、彼の理由は理由にならないのである。
「どうしたのか、まさか不得心ではあるまいな」
家老にこう云われて、孝之助には云う言葉がなく、お受けをすると答えた。
現奉行の依田重右衛門は、すでにこの交代を知っていた。彼は自分の柄にない役を当てられて、僅かな期間であったが、相当へこたれていたらしい。孝之助を見るといそいそと手を擦り、もうすぐにも、役所からとび出してゆきたそうにした。
「これでやっと息がつけます、幸い元の役に帰れましたのでね、足軽組頭ですよ、早速ひとつ、思う存分に駆けまわってやります」