Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わらうあくま

笑う悪魔

野村 胡堂

Lesen Sie 笑う悪魔 (わらうあくま) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.687 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

これが十一時過ぎになると、もう一度市内版の為に帰って来る、外交記者で賑うのですが、中間の地方版の編輯は、さすがに呑気で、早坂勇の代用米でも、随分間に合わないことはありません。

「早坂さん。第六版をおろしますよ」

工場からインキで真っ黒になった少年が、濡れたゲラ刷を持って来て、早坂勇の卓の上に広げました。

「あ、宜いよ、おろしてくれ、――そのうちに兄貴も整理部の連中も帰って来るだろうから、間もなく俺は年明けだ、いよいよ光ちゃんの顔でも見に行くか」

虎井満十は早坂勇の卓を離れて大きな欠伸をしました。その頃から外交記者が、それぞれの材料を持って来て、自分の卓で、セッセと原稿を書いて居ります。

丁度八時半、早坂勇の卓上の電話のベルが、勢よく鳴り出しました。

「オイ、勇、電話だよ」

「よし、心得た、どうせ市内通報員だろう。済まないが満十、その鉛筆を取ってくれ、――モシモシ、此方は東京ポストですがね、モシ、モシ、え、僕は早坂――そちらは、え、え? 千種? 兄貴かそいつは済まなかった、早く帰ってくれ、編輯は苦手だよ、何? 大事件がある? 何処だ、番町、能谷邸に、――僕に直ぐ来いと言うのか、よし行くぞ、事件を追っ駆けるのは兄貴の柄じゃ無いよ、――此処は満十に頼むさ、そのうちに誰か帰って来るだろう、構わないとも」