Japanische Klassiker mit Furigana
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わらうあくま
笑う悪魔
野村 胡堂
Lesen Sie 笑う悪魔 (わらうあくま) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.687 Zeichen · 55 Bildschirme
夜の編輯局
夜の編輯局
「勇、一杯つき合わないか、ガード下のお光っちゃんは、怨んで居たぞ、――近頃早坂さんは、何処か良い穴が出来たんじゃないかって――」
古参の外交記者で、十年も警視庁のクラブの主にされて居る虎井満十が、編輯助手の卓の上へ、横合から薄禿げた頭を突き出して斯んなことを言うのです。
「冗談じゃないよ、市内版がこれから始まるんだ、電報はやけに多いし、電話は引っ切り無しだが、整理部の新年会で部長以下皆んな出かけてしまったし、速記まで帰って了って手が付けられない、少し手伝えよ、虎井」
「お前が編輯して居たのか、――タガの外れた新聞が出来上らなきゃ宜いが、な勇」
「細工は粒々さ、明日の朝の新聞を見ると同業者は肝を潰すぞ」
「整理部の新年会だから整理部長の留守はわかって居るが、社会部次長の千種は何処へ行ったんだ、宵のうちから姿を隠すなんざ、あの男には例の無いことじゃないか」
社会部次長の千種十次郎の姿が、その晩の東京ポストの編輯室に見れないのは、まさに年に一度の奇蹟だったのです。
それはまだ、新聞が毎日十六頁も出せた時代、軍部の横暴が、日本を破算的な戦争に導く前の、特種ニュース競争華やかなりし新聞社の編輯局風景でした。