Japanische Klassiker mit Furigana
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そこつひょうばんき
粗忽評判記
山本 周五郎
Lesen Sie 粗忽評判記 (そこつひょうばんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.942 Zeichen · 28 Bildschirme
二
「言訳けは要らぬ、自信があるかどうだ」
「はあ、いかにも武士として矢表に後れを取らぬ覚悟はございます」
「きっとだな、よし」明敬は頷いて、「ではこれから吹上侯を尋ねるから供をせい」
矢表と吹上侯とどんな関わりがあるのか、久之進は解せぬままに立った。下野国吹上藩主、斎藤出雲守信継は、壱岐守明敬と莫逆の友である。壱岐守は同国壬生の城主だから隣藩の誼もあり、また明敬が天和二年十六歳で家を継いだのと、ほとんど前後して信継も十五歳で家督した関係から、この年少の両藩主は江戸に於ても国許にあっても、きわめて親密なつきあいをもっていた。
二
出雲守の屋敷は芝桜川町にあった。飯倉の壱岐邸からはほんのひと跨ぎでゆける、供五名を従えて馬を乗りつけた明敬は、久之進だけを伴れて数寄屋へ通った。
「ほう、本当に御光来か」信継は笑いながらこう云った。「今のうちによしたほうが無事ではないか」
「なにを云うか」明敬はむずと坐りながら、「いちどこうと思ったことは中途で思止った例のないこのほうだ、今日こそ兼光を貰ってゆくから覚悟をするがよい」
「覚悟はそのほうのことだ、小萩の弓勢は三人張だからうっかりすると落命に及ぶぞ、――ところで相手はつれて来たか」