Japanische Klassiker mit Furigana
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そこつひょうばんき
粗忽評判記
山本 周五郎
Lesen Sie 粗忽評判記 (そこつひょうばんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.942 Zeichen · 28 Bildschirme
四
こうしているうちに、丘の上の松韻亭という亭のところへ出た。
「久之進、先日は余が悪かった」卒然とこう云いだした。
「なにごとの仰せでございましょうか」
「いや隠すことはない、兼光が欲しいため、家来に賭け勝負をさせるなどは道を外したしかたであった、忘れてくれ」
四
久之進は頭を垂れただけである。
「じつは、出雲守と交わりを断った」明敬は屈託をぶちまけるように云った、「あんな友誼を知らぬやつはない、このほうは一歳でも年上だと思うから、なにかにつけて庇ってもやり引立て役にも廻っていたのだ、その恩義も忘れておのれひとかどの人物かなんぞのように、のさばり返っているようすは見るに耐えない」
「……なんぞゆき違いでもございましたか」
「もとは些細なことだ」明敬は苦い表情で云った、「昨日は式日で長袴の登城だった、余は少し遅刻したので心も急いていたが、ついしたはずみで前をゆく者の袴を踏んでしまった、向うはみごとにつんのめった。なに、いささかでも心得のある者なら、長袴の裾を踏まれたくらいであんな転びようをするはずはない、うかうかしているものだから、のめる拍子に萩間の襖を押倒して、お詰間へ転げこんでしまった」