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Japanische Klassiker mit Furigana

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かさねものがたり

累物語

田中 貢太郎

Lesen Sie 累物語 (かさねものがたり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.407 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

お菊は村の人を見るとまた叫んだ。

「わしは与右衛門の女房の累じゃ、与右衛門は、わしが容貌が悪いから、わしを絹川へ突き落したによって、その怨念を晴らすために来た、今、与右衛門は逃げて法蔵寺に隠れておる、あれを呼んで来てわしと対決さしてくれ」

村の者はお菊の詞が累そっくりであるからとにかく与右衛門を呼んで来て逢わしたうえで、宥めることが出来るなら宥めようと思って与右衛門を呼びに往った。与右衛門は悪事が露見しては困ると思って、

「それは跡方もないことじゃ、あれは狐か狸が憑いておる」

と、云って尻込みしていたが、村の者が強いて云うのでしかたなしに家に帰って来た。お菊は与右衛門の顔を見ると、

「おのれ与右衛門、おのれは、狐狸と云うて、村の衆の前をつくろおうとしておるが、おのれのしたことを何人も知らないと思っておるか、たしかな証拠人があるぞ」

と云った。与右衛門は何も云えなかった。すると村の者の一人が聞いた。

「その証拠人は何人だね」

お菊は叫ぶように云った。

「法恩寺村の清右衛門じゃ」

与右衛門はどうすることもできなかった。村の者は今更与右衛門を成敗さすに忍びないので、与右衛門に出家さして累の菩提を弔わすがいいだろうと云うことになった。