Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

かさねものがたり

累物語

田中 貢太郎

Lesen Sie 累物語 (かさねものがたり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.407 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

承応二巳年八月十一日の黄昏のことであった。与右衛門夫婦は畑から帰っていた。二人はその日朝から曳いていた豆を数多背負っていた。与右衛門の前を歩いていた女房の累が足を止めて、機嫌悪そうな声で云った。

「わたしの荷は、重くてしようがない、すこし別けて持ってくれてもいいじゃないか」

与右衛門はそれを聞くと、

「絹川の向うまで往ったら、皆、おれがいっしょにして、持ってやる、それまで我慢しな」

と云った。そこは下総国岡田郡羽生村であった。

「そう、それじゃ」

累は牛のようにのそのそと歩きだした。そして、絹川の土手にとりついた比には、な樺色に燃えていた西の空が燻ったようになって、上流の方は微すらした霧がかかりどこかで馬の嘶く声がしていた。与右衛門は歩き歩き途の前後に注意していた。その与右衛門の眼には凄味があった。

二人が淡竹の間の径を磧の方におりて土橋にかかったところで、与右衛門は不意に累の荷物に手をかけて突き飛ばした。累の体は一とたまりもなく河の中へ落ちて水煙を立てたが、背負っている豆があるのですぐ浮きあがって顔をあげた。それは醜い黒い顔であった。与右衛門はそれを見ると背負っていた豆を投げ捨てるなり、河の中へ飛び込んで悶掻きながら流れて往く累を荷物ぐるみ水の中へ突きこんだ。