Japanische Klassiker mit Furigana
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さいきこうい
細木香以
Lesen Sie 細木香以 (さいきこうい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.332 Zeichen · 45 Bildschirme
しかし寒川と日本橋との間をば魚介を運ぶ舟が往来する。それに託して河竹新七、永機、竺仙等は書を寄せて香以を慰めた。またたまには便船して自ら訪うこともあった。当時この人々は濃紫のおふさが木綿著物に襷を掛けて、かいがいしく立ち働くのを見て感心したそうである。「針持つて遊女老いけり雨の月」は香以が実境の句であった。
ある日天気が好くて海が穏なので、香以は浜辺に出ていた。そこへ一隻の舟が著いて、中から江戸の相撲が大勢出た。香以が物めずらしさに顔を見ると、小結以上の知人もいた。相撲は香以を認むるや否や頷き合って進み寄って、砂の上に平伏した。「これはこれは、河岸の檀那、御機嫌宜しゅう、こちらに御逗留でございますか。どうぞ初日には御見物を。」相撲を迎えに出た土地の人達は、皆驚いて目をった。「摂津国屋の隠居はえらい人だと見えて、関取衆が土下座をさっしゃる」と囁き合ったそうである。香以は交肴一籠を相撲等に贈って、これがために一月余の節倹をした。
香以は文久三年から慶応二年まで、足掛四年寒川に住んでいた。四十二歳から四十五歳に至る間である。この間元治元年には梅屋鶴寿が歿した。