Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
十一
ペータアはふざけているのか本当に云えないのか、どうしても「アオギリギリ」と云って「アオギリ」と云わない。悦子は又癇を立てて、
「ギリギリと違います。ギリ一遍です」
と云っている。それが「義理一遍です」と聞える可笑しさに、雪子は怺えきれなくなって吹き出してしまった。
十一
シュトルツ家の子供たちと悦子とは、間もなく暑中休暇になったので、毎日呼んだり呼ばれたりしていた。朝夕の涼しい時刻には庭の青桐や栴檀の樹のあたりで、電車ごっこや木登りをして遊ぶのであるが、日中は家の中で、少女たちばかりの時は飯事をし、ペータアやフリッツが加わる時は戦争ごっこをする。応接間の長椅子や安楽椅子の重いのを、四人がかりで彼方此方へ動かして繋ぎ合せたり積み重ねたりして堡塁や特火点を作り、空気銃を擬してそれを攻撃する。ペータアが上官になって号令をかけると、他の三人が一斉射撃をする。そんな時に独逸の少年たちは、まだ小学校へも行かないフリッツのような幼童までが、敵のことを必ず「フランクライヒ、フランクライヒ」と云うので、初め幸子たちは何のことだか分らなかったが、それは独逸語で仏蘭西と云うことだと貞之助に教えられて、今更のように独逸人の家庭の躾方を思いやった。