Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

幸子は僅かな間だけれども、悦子の色つやが目立って健康そうになり、頬の肉がいくらか豊かになったように感じながら、

「悦ちゃん、今日は富士山がよう見えたで。―――なあお春どん」

「はあ、ほんとうに、上から下まで雲が一ッつものうて、―――」

「こないだは少し曇ってて、上の方が見えへなんだ」

「まあ、そうでございますか、そしたらお春どんは運がよかったのでございますね」

お春は悦子に対する時だけ、自分のことを「お春どん」と云うのであった。

車がお濠端へ来ると、輝雄が帽子を取ったのを合図に、

「ほら、お春どん、彼処が二重橋、―――」

「こないだは彼処で自動車を降りて、最敬礼したんよ」

と、雪子が云った。

「ふん、ふん、そうやわ、お母ちゃん、―――」

「いつのこと」

「こないだ、―――二十四日の日、シュトルツさんとペータアさんと、姉ちゃんと、悦子と、彼処に整列して最敬礼したんやわ」

「へえ、シュトルツさん等、二重橋へ来やはったん」

「姉ちゃんが連れて来やはったんよ」

「そんな暇があったのん」

「時間がキチキチや云うて、時計ばかり見てはって、気が気やなかったけど、―――」

あの日、雪子と悦子とが大急ぎで突堤へ駈け付けると、シュトルツ父子はもうさっきから甲板に出て待ち焦れていたところであった。