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Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

とすると、幸子は、夫や妹が未だに帰って来ないことについて、いよいよ不審が深まるのであった。こう云う少年少女たちでさえ、神戸から此処までの距離を今迄の時間に蹈破することが出来たとすれば、当然夫や妹も疾うに戻っていなければならない筈であるのに、それが戻って来ないと云うのは、何かしら間違いがあったものと思わなければならない。而もその間違いは、妙子の一身に起ったことで、夫も、そして事に依ると庄吉も、妙子を救い出すとか捜し出すとか云うことのために手間取っているのではないであろうか。………

「奥さん、あなたの旦那さん、妹さん、どうしましたか、まだ帰りませんか」

「まだ帰りません。シュトルツさんたちがお帰りになったのに、どうしたんでしょう。わたし、心配で溜りません」

幸子はそう云っているうちに、自分の声が泣き声になって行くのをどうすることも出来なかったが、顔の一部が桐の葉の蔭に隠れているシュトルツ夫人は、例のチュッ、チュッと、しきりに舌を鳴らしていた。

「御寮人様」

と、その時お春が上って来て閾際に手をつかえた。

「―――奥畑さんが、僕もこれから野寄の方へ行って見るよってに、ちょっと奥さんに申し上げてくれ仰っしゃっていらっしゃいます」