Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
女史と云うのは、妙子より七つ八つ年長の人で、工学士で住友伸銅所の技師をしている良人との間に小学校へ行っている息子が一人あり、自分も神戸の某百貨店の婦人洋服部の顧問をしつつ洋裁学院の経営をしているのであった。それで学院の隣に別な小さな門があって、そこに平屋建ての、西班牙風な瀟洒な住宅があったが、学院の校舎とは庭つづきで行け行けになっていた。妙子は先生と弟子と云う以上に女史に可愛がられていたので、いつもこんな風に招かれることがあるのであったが、その時も応接間に通されて、女史から仏蘭西行きの参考になるような話を聞きかけていた。巴里で数年間修業をした経験を持つ女史は、妙子にも是非一度行って来るようにすすめ、自分も及ばずながら紹介の労を取るからなどと云いながら、眼の前でアルコールランプを点じて珈琲を沸かしていたが、その間も雨は恐ろしく降りつづけていたので、まあ、どうしましょう、これではよう帰りません、………いいじゃないの、小降りになったら私も出かけますから、もう少し休んでいらっしゃいよ、などと云い合っていた時であった。只今、と云いながら十になる息子の弘が息を切らして這入って来た。