Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
と、ちょっと気を引いてみるように云った。さては井谷はそれを云いたい腹もあって来たのだったかと心づいて、なおよく聞いてみると、その人と云うのは大和の下市で某銀行の支店長をしてい、子供が五人あるのだけれども、一番上が男の子で、目下大阪の某学校に行っており、二番目のが女の子で、これは年頃になっているから近々何処かへ縁づくとすると、家にいるのは三人に過ぎない、生活の方は、その地方での一流の資産家であるから何の心配もない、と云うようなことなのであったが、五人の子持ちで、下市と聞いただけで、話にも何にもならないと思って、貞之助は途中から興味のない顔つきをした。井谷もそれを看て取って、とてもこんなのはお嫌でしょうからと、直ぐ引っ込めてしまったが、それにしても、何のつもりで此方が承知する筈のない悪条件の話を持ち出したのか、矢張井谷は内心不快を感じていて、こんなところがちょうど相当な御縁なのですよと、暗に諷したのであるかも知れなかった。
井谷を送り出してから、貞之助が二階の部屋へ上って行くと、幸子は臥たまま浴用タオルで顔を覆うて吸入をかけていたが、
「井谷さん又縁談を持って来やはったんやて?」