Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうば
老婆
小川 未明
Lesen Sie 老婆 (ろうば) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.436 Zeichen · 11 Bildschirme
明日にも直ぐ逃げ出すことが出来るのだ。と思い直しても見たが何うやら不安で、とてもこの老婆との関係が切れないようにも思われる。否決して関係でない。――其処に何にも親しく語ったこともなけれや、世話になったこともない。少しばかりでも関係のあろう筈がない。ただ私はこの老婆を忘れることが出来ないのだ。
然り、とてもこの老婆を忘れることが出来ない。きっとこの老婆の姿が私の目先に附き纏っているばかりでなく、常に気にかかって私の心が支配せられるだろうと考えた。
私は、火の気のない火鉢の側に坐って、老婆と向い合って、つらつら其様ことを思うとこの老婆が憎くなった。
一つ困らしてやろうという念が萌した。
「お婆さん、何か薬がありませんか、苦しくてこうやって居られません。何か一つ薬を下さいな。」
といって、とても薬なんか持ていないということを知りぬいているから、どういう返事をするか聞きたかった。婆さんは、少しも顔の相を変えなかった。へへへへと笑いながら、枯れた手を延ばすかと思うと膝頭の火鉢の抽出を引き出した。私は慄として身に寒気を感じた。尚お延び上って、暗いランプの光りで抽出しを見詰めた。