Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうば
老婆
小川 未明
Lesen Sie 老婆 (ろうば) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.436 Zeichen · 11 Bildschirme
老婆は眠っているようだ。茫然とした顔付をして人が好そうに見る。一日中古ぼけた長火鉢の傍に坐って身動きもしない。古い煤けた家で夜になると鼠が天井張を駆け廻る音が騒々しい。障子の目は暗く紙は赤ちゃけているが、道具というものはこの長火鉢の外に何もなかった。私は終日外に出て家にいることが稀だから、何様ものを食べているか食事するのを見たことがない。私はただ二階の六畳を借りているばかりで、食事はすべて外で済して帰る。私が遅く帰る時分には、暗いランプの下に老婆は茫然と坐っている。それが朝出る時に見たと同じ方面に対して同じ様子で少しも変りがない。
私が借りた二階の六畳の壁は青い紙で貼てあった。高窓が表向になって付いているばかりで、日も当らない、斯様汚らしい処を借るつもりでなかったが、値段が安くて、困っている当時のものだからつい入ることにしてしまった。私が間を見に来た時も、やはり婆さんはこうやって坐っていた。婆さん一人で住んでいるのかと聞いたら、やはりそうだと答えた。子も孫もないようだ。何して食って行くのか分らない。何もせずに坐っているばかりだ。私はただ間を借りたばかりで家では飯も食わないのだから話す機会もない。