Japanische Klassiker mit Furigana
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みみこうすい
耳香水
大倉 燁子
Lesen Sie 耳香水 (みみこうすい) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.465 Zeichen · 29 Bildschirme
人情はどこも同じだとみえて故意か偶然か、一時にあっちにもこっちにも殺人が行われて、市中はさながら戦慄の都と化してしまっていました。白昼カフェで女給が殺された。昨夜もダンスホールでダンサーが踊りながら、相手の男に心臓を突き刺されて絶命した。富豪の邸宅に強盗が入って夫人がピストルで撃れた。殺される相手はいつでも定って女です。
それがすべて鼠色の男の仕業だかどうだか分らないのですが、彼も最初のうちは普通の強盗で、顔を見知られないために殺すのだということでしたが、中途から噂が変って、金を奪うためのみではない。血を好むのだ。彼の目的は血を見るにある。女の血、美人の血。白い皮膚がパッと紅に染まる瞬間の美、それは彼に譬え難い快感を与えるのだ。血の魅力に惹きずられて罪を重ねて行くのだと、まるで当人から聞いてきたような話をする人もありました。処がまた、新に妙な話が伝えられました。彼はただ私慾を満足させるために殺人強盗をやるのではない、というのは殺人事件の行われた直後とも考えられる時間に、必ず貧しい人達を訪れて、若干の金を恵んで行く男があるというのです。貧民窟を潤して煙のように消え去るその人の感じが、いかにも鼠色というのに相応しかった。