Japanische Klassiker mit Furigana
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みみこうすい
耳香水
大倉 燁子
Lesen Sie 耳香水 (みみこうすい) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.465 Zeichen · 29 Bildschirme
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飛んだ道草をしてしまって――、キールン・ホテルに着きました時は、もう何もかも片付いた後のように、しんとしていて帳場には誰も居りませんでした。時間が経ったせいもあるのでしょうが周囲の様子が実に落付いていて、今しがた人殺しがあった後のような風はどこにもありませんでした。
帳場の横手の茶の間を覗くと、そこには主人の張氏夫婦が、額を突き合せるようにして、何かひそひそと語り合っていました。
『あ、よくいらした!』
張氏は愛想よく起ち上って、私を迎えて呉れました。
『人殺しがあったっていうじゃありませんか?』
妻君は夫と私の顔を等分に見て笑っています。張氏は面目なさそうににやにやしながら、
『間違いだったんですよ。周章て者が、人殺しだなんて云い出したもんで――。大騒ぎになっちゃいましたんですが――。なあにね、急病で死んだんですよ。何んでもなかったんです』
私はちょっと拍子抜けがしました。それだからこそ、家の中がこんなに静かだったのです。
『病死だったんですか』
『脳溢血で死んだんですって、警察のお医者さんが云いました』と妻君も口を添えて云います。
『そう。でもまあよかった。