Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme

Aozora Bunko

と、挨拶をするお袋の言葉などには、僕はもう頓着しなかった。

「菊ちゃんの病気はどうです?」僕は敵の本陣に切り込んだつもりだ。

「あの通り、だんだん悪くなって来まして、ねえ」と、お袋は実際心配そうな様子で「入院しなけりゃア直らないそうですが、それにゃア毎月小百円はいりますから――」

「野沢さんに出しておもらいなさい、な」と、僕は菊子に冷かし笑いを向けた。

「そううまくも行きません、わ」かの女も笑って眼鏡を片手で押さえた。

その様子が可哀そうにもならないではないが、僕は友人とともに、出て来た菓子を喰いながら、誇りがおに、昨夜から今朝にかけての滑稽の居残り事件をうち明けた。礼を踏まない渡瀬一家のことは、もう、忘れているということをそれとなく知らせたかったのだ。すると、お袋が、それを悟ったか、悟らなかったか、

「もう、先生、居残りは困ります、ねえ。私どもも国府津で困りましたよ。先生はいらッしゃらない、奥さんはお帰りになった、これと私とでどんなにやきもきしたか知れやアしません、わ」

「しかし、まア、無事に済んだから結構です」と、僕はあくまで冷淡だ。

「どうして、先生、私の方は無事どころじゃアございませんの。