Japanische Klassiker mit Furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme
「さぞこの尻が大きかっただろう、ね」うしろからぶつと、
「よして頂戴よ、お茶を引く、わ」と、僕の手を払った。
「お前が役者になる気なら、僕が十分周旋してやらア」
「どこへ、本郷座? 東京座? 新富座?」
「どこでもいいや、ね、それは僕の胸にあるんだ」
「あたい、役者になれば、妹もなりたがるにきまってる。それに、あたいの子――」
「え、お前の子供があるんか?」
「もとの旦那に出来た娘なの」
「いくつ?」
「十二」
「意気地なしのお前が子までおッつけられたんだろう?」
「そうじゃアない、わ。青森の人で、手が切れてからも、一年に一度ぐらいは出て来て、子供の食い扶持ぐらいはよこす、わ。――それが面白い子よ。五つ六つの時から踊りが上手なんで、料理屋や待合から借りに来るの。『はい、今晩は』ッて、澄ましてお客さんの座敷へはいって来て、踊りがすむと、『姉さん、御祝儀は』ッて催促するの。小癪な子よ。芝居は好きだから、あたいよく仕込んでやる、わ」
吉弥はすぐ乗り気になって、いよいよそうと定まれば、知り合いの待合や芸者屋に披露して引き幕を贈ってもらわなければならないとか、披露にまわる衣服にこれこれかかるとか、かの女も寝ころびながら、いろいろの注文をならべていたが、僕は、その時になれば、どうとも工面してやるがと返事をして、まず二、三日考えさせること