Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme

Aozora Bunko

窓の机に向って、ゆうがた、独り物案じに沈み、見るともなしにそとをながめていると、しばらく忘れていたいちじくの樹が、大きなみずみずした青葉と結んでいる果とをもって、僕の労れた目を醒まし、労れた心を導いて、家のことを思い出させた。東京へ帰れば、自分の庭にもそれより大きないちじくの樹があって、子供はいつもこッそりそのもとに行って、果の青いうちから、竹竿をもってそれをたたき落すのだが、妻がその音を聴きつけては、急いで出て来て、子供をしかり飛ばす。そんな時には「お父さん」の名が引き合いに出されるが、僕自身の不平があったり、苦痛があったり、寂しみを感じていたりする時などには子供のある妻はほとんど何の慰めにもならない。一体、わが国の婦人は、外国婦人などと違い、子供を持つと、その精魂をその方にばかり傾けて、亭主というものに対しては、ただ義理的に操ばかりを守っていたらいいという考えのものが多い。それでは、社会に活動しようとする男子の心を十分に占領するだけの手段または奮発(僕はこれを真に生きた愛情という)がないではないか? 僕は僕の妻を半身不随の動物としか思えないのだ。