Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme

Aozora Bunko

見たり、胸をさすって見たり、腕をなぐって見たりしたが、やッぱり気が進まないので、ぐんにゃりしたまま、机の上につッぷしてしまった。

「おやッ!」かしらをあげると、井筒屋は大景気で、三味の音がすると同時に、吉弥のうわ気な歌声がはッきりと聴えて来た。僕は青木の顔と先刻車から出た時の親夫婦の姿とを思い浮べた。

一一

その夜はまんじりとも眠れなかった。三味の音が浪の音に聴えたり、浪の音が三味の音に聴えたり、まるで夢うつつのうちに神経が冴えて来て、胸苦しくもあったし、また何物かがあたまの心をこづいているような工合であった。明け方になって、いつのまにか労れて眠ってしまったのだろう、目が醒めたら、もう、昼ぢかくであった。

枕もとに手紙が来ていたので、寝床の中から取って見ると、妻からのである。言ってやった金が来たかと、急いで開いて見たが、為替も何もはいっていないので、文句は読む気にもならなかった。それをうッちゃるように投げ出して、床を出た。

楊枝をくわえて、下に行くと、家のおかみさんが流しもとで何か洗っていた手をやすめて、

「先生、お早うござります」と、笑った。