Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme

Aozora Bunko

気の休まる時がございません。それが田舎行きとなると、幾度も往復しなけりゃアならないことがございます。今度だッてもこの子の代りを約束しに来たんですよ、それでなければ、どうして、このせちがらい世の中で、ぼんやり出て来られますものですか?」

「代りなど拵えてやらないがいいや、あんな面白くもない家に」と、吉弥は起きあがった。

「それが、ねえ、先生、商売ですもの」

「そりゃア、御もっともで」

「で、御承知でしょうが、青木という人の話もあって、きょう、もう、じきに来て、いよいよの決着が分るんでございますが、それが定まらないと、第一、この子のからだが抜けませんから、ねえ」

「そうですとも、私の方の問題は役者になればいいので、吉弥さんがその青木という人と以後も関係があろうと、なかろうと、それは問うところはないのです」と、僕の言葉は、まだ金の問題には接近していなかっただけに、うわべだけは、とにかく、綺麗なものであった。

「しかし、この子が役者になる時は、先生から入費は一切出して下さるようになるんでしょう、ね」と、お袋はぬかりなく念を押した。

「そりゃア、そうですとも」僕は勢いよく答えたが、実際、その時になっての用意があるわけでもないから、少し引け気味があったので、思わず知らず、「その時ア私がどうともして拵えますから、御安心なさい」