Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme

Aozora Bunko

吉弥はその男と火鉢をさし挟んで相対し、それも、何だか調子抜けのした様子。

「まア、御飯をお済ましなさい」こう、僕が所在なさに勧めると、

「もう、すんだの」と、吉弥はにッこりした。

「おッ母さんは?」

「赤坂へ行って、いないの」

「いつ帰りました?」

「きのう」

「僕の革鞄を持って来てくれたか、ね?」これはわざと聴いたのだ。

「あすこにある、わ」と、指さした。

「あれが入り用だから、取りに来ました」

「そう?」吉弥は無関係なように長い煙管をはたいた。

こんな話をしているうちに、跡の二人は食事を済ませ、家根屋の持って来るような梯子を伝って、二階へあがった。相撲取りのように腹のつき出た婆アやが来て、

「菊ちゃん、もう済んだの?」と言って、お膳をかたづけた。

いかにも、もう吉弥ではなく、本名は菊子であった。かの女は男の立った跡へ直り、煙管でおのれの跡をさし示し、

「こッちへおいで」という御命令だ。

僕はおとなしくその通りに住まった。

二階では、例の花を引いている様子だ。

「あれだろう?」僕がこう聴くと、

「そうよ」と、菊子が嬉しがった。

馬鹿な奴だとは思ったが、僕はもう未練がないと言いたいくらいだから、物好き半分に根問いをして見た。