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Japanische Klassiker mit Furigana

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あぢさい

花火・来訪者 他十一篇

永井 荷風

Lesen Sie 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.046 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

その代りこれはわたしの志さ。」と目の前につき付けたのは後で数えて見れば百円札が五枚。いくら仕がない芸人でも、女から手切を貰って引込むような男だと、高をくくられたのが口惜しいから、金は突返して、高慢ちきな横面を足蹴にして飛出そうと立ちかかる途端、これさえあれば君香の前借も話がつくんだと、卑劣な考がふっと出たばかりに、何にも云わず、おとなしく証文をかいた時は、我ながら無念の涙に目がかすみ、筆持つ手も顫えました。わたくしがその後三味線引をやめたのも芸人でなかったら、あの耻はかかされまいと、その時の無念がわすれられなかったからで御在ますよ。

しかし五百円をふところにして丸次の家を出ると、その場の口惜しさ無念さは忽ちどこへやら。今し方別れたばかりの君香に逢い借金を返すはなしをしたら、どんなに喜ぶことだろうと思うと、もう矢も楯もたまりません。電車の来るのも待ちどしく、自動車を飛して埋堀の家へかけつけて見ると、夏の夜ながら川風の涼しさ。まだ十二時前なのに河岸通から横町一帯しんとして、君香の借りている二階の窗も、下の格子戸も雨戸がしまっています。戸を敲くと下の人が、「お帰んなさい。