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Japanische Klassiker mit Furigana

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あぢさい

花火・来訪者 他十一篇

永井 荷風

Lesen Sie 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.046 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

五

姿を見るや、否や、また例の〆りのない粗雑な調子で、

「千代ちゃん千代ちゃん。」と呼びかけ、そっと親指を見せるのである。葉山はかくの如くしていつかお千代に関係をつけてしまった。その時葉山はお千代が何とも云わぬ先に毎月三十円やると云って現金を女の懐中に捻じ込み、

「僕ア毎日遊んでるんだから、旦那のいない時、夜中でも朝腹でもいつでもいいよ。旦那が来たら裏口から内所で逃げてってやらア。こんな訳のわかった色男はあるまい。」と葉山は一人で喜んで一人で承知して帰ったのである。

五

慶三はお千代と葉山の関係をば図星をさしてこうとはっきり推量する事は無論出来なかったけれど、従前からの行掛りでお千代の方に相応の弱みがある為め、どうしても手強く排斥して仕舞う事が出来ないのだという位の事は、追々に想像する事が出来るようになった。そしてお千代が口先ではもう断じて家へ上げないと云っているけれど、それが決して信用するに足りない証拠をば、慶三はその後においても幾度か発見した。妾宅からの帰途横町の曲角で見覚えのある葉山に摺違った事もあった。見馴れない男持の巻煙草入がお千代の用箪笥の上に載せてあるのを見た事もあった。