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Japanische Klassiker mit Furigana

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あぢさい

花火・来訪者 他十一篇

永井 荷風

Lesen Sie 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.046 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

かざして見せながら、

「そんなに待ちやァしないでしょ。随分いそいだのよ」と云いながら、今更のように慶三の顔を見て「羽織の襟が折れていない事よ。あなたの内儀さんは実がないね。」

「その代り何にも御存じなしさ。結句無事だ。」と慶三は自分で羽織の襟を直す。

「全くね。」と女は手にした傘をさし、「どっちへ行きましょう。きめて頂戴よ。」

「どこがよかろう。お前あてがあるか。」

「そうね、神田辺はあんまりお店に近いし、本郷の方もぞっとしないわね。」

「行先がきまらなくっちゃ電車にも乗れない。まアぶらぶら歩きながら話そうじゃないか。」

二人は砲兵工廠の赤煉瓦塀に添うて足の向くまま富坂を小石川の方へと上って行った。

「これから夏向にゃ山の手も悪かアあるまい。」

「そうねえ、なまじっか町よりか静かでいいかも知れないわ。」

「白山に芸者家が出来たって云う咄しだがあの辺はどうだ。矢張芸者家のある土地の方が仕出屋や何かの便利がきくからね。」

「内々で浮気も出来ますしね。」

「何を云うんだい。」

「それだって聊か心配だわ。人情ですもの。」

慶三はいかにも満足らしくはははと笑ったが、千代香は坂をまだ半分とは上らぬ中に突然、