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Japanische Klassiker mit Furigana

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あぢさい

花火・来訪者 他十一篇

永井 荷風

Lesen Sie 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.046 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

これを四十四年後における今日の時勢に比較すると、吾々は殊にミリタリズムの暴圧の下に委縮しつつある思想界の現状に鑑みて、転た夢の如き感があると云ってもいい位である。しかし自分は断って置く。自分はなにも現時の社会に対して経世家的憤慨を漏そうとするのではない。時勢がよければ自分は都の花園に出て、時勢と共に喜び楽しむ代り、時勢がわるければ黙って退いて、象牙の塔に身を隠し、自分一個の空想と憧憬とが導いて行く好き勝手な夢の国に、自分の心を逍遥させるまでの事である。

寧ろこう云う理由から、自分は今正に、自分がこの世に生れ落ちた頃の時代の中に、せめて蟲干の日の半日一時なりと、心静かに遊んで見ようと急っている最中なのである。

大方母上が若い時に着た衣裳であろう。撫子の裾模様をば肉筆で描いた紗の帷子が一枚風にゆられながら下っている辺りの椽先に、自分は明治の初年に出版された草双紙の種類を沢山に見付け出した。大蘇芳年の画で古河黙阿弥の書いた「霜夜鐘十時辻占」もある。伊東橋塘と云う人の書いた「花春時相政」という侠客伝もある。「高橋お伝」や「夜嵐お衣」のような流行の毒婦伝もある。