Japanische Klassiker mit Furigana
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めばえ
芽生
宮本 百合子
Lesen Sie 芽生 (めばえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 40.924 Zeichen · 81 Bildschirme
「夜という仮面をつけたりゃあこそ、さもなくば気恥しゅうて此の頬が紅の様に紅うなろう……」
自分が始めて云い出す事の様にふくみ声で云って目をあげてうす笑をした。
男の家の丸アルいくもりがらすの電燈が見え始めた。この頃道ぶしんで歩きにくく、わざとする様にまかれた砂石の道を人の居ないのを幸に足の先の方で走ってくぐりをあけるとすぐうたをうたう様な声をあげて、
「居らっしゃる?」
と声をかけてチューリップの模様の襖のかげから出て来る男の姿を描いた。
「お上り、随分思いがけない時……」
男の声が思いがけなくほんとうに思いがけなく二階から頭の真上におっこって来た。
妙にくねった形をした石の上に下駄を並べて階子をかけ上った。
障子はすっかりあけはなされて、前の時にもって来たバラがまだ咲いて居てうす青な光線が一っぱいにさして散らかった紙の上に男の影がよろけてうつって居た。
「いそがしいの? 今日は来る筈じゃなかったけど例の気まぐれで――用事をしてらしったってかまわない」
女はあんまり下らない言葉だと思いながらこんな事を云った。
「アア、そんなじゃないけどとにかくひまじゃないんだ」