Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めばえ

芽生

宮本 百合子

Lesen Sie 芽生 (めばえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 40.924 Zeichen · 81 Bildschirme

Aozora Bunko

「私はうれしくなって来た」

ことわる様に女は云って、いつもする様に手だの耳ったぼだの肩だのをひっぱった。

男はしずかにしながら、小声で小学歌をうたって居る。のんびりした音律のフレンチのしなやかな音調のうたは感じやすい女の心から涙をにじませるには十分すぎて居た。男の肩に頭をおっつけて目をつぶって女は夢を見かけて居た。

「私達は人並じゃなくしましょうよ」

女はフイとこんな事を云い出した。

「人並じゃなくとは?」

「ホラ、ネ、知ってるじゃありませんか。だれでもがある様に死ぬまで一緒に居られる様な時になるとたるんで来て、お互にあきあきしてしまってさ」

「私達にそんな事があるもんかネ」

「それをほんとうにネエ、なんて云うほど私の心はおぼこじゃありゃしない。だから私なんか死ぬまで別々の家に住んで、お互に暮し向の事なんか一寸も知りあわずに居た方がいいとも思ってる……」

「そいじゃ張合がないんじゃないか」

「だってしようがありゃしない、いやな事にぶつかってしかめっつらをして又あともどりするより、笑いながら始めっからぶつからない様にして居た方が好いと思うから」

「もうおやめ、これがすめば又かんしゃくを起すんだろう? おやめ、下らない、もっとおだやかな気持をいつでも持ってなくっちゃあならないよ」